行人 [Kindle版] 夏目 漱石 (著)
「彼岸過迄」「行人」「こころ」で後期の三部作をなしているといわれる。
たしかに、「行人」では「彼岸過迄」で追及され解決されなかったテーマがさらに追及されている。
ただ、登場人物がかわっている。
須永 → 一郎
千代子 → 直
敬太郎 → 二郎
一応こういう対応なんだろうけど。
全体に人間の暗黒面が前面に出ていて、暗い。
「彼岸過迄」の千代子は魅力的だったのに、直は冷たいし。
須永と千代子は離れたりくっついたりしながら、いつかは一緒になるんだろうかなとなんとなく希望を感じる終わり方だったのだが。
まあ、別の話なんですけどね。
辛かったです。
高校時代に読んだはずだけど、「彼岸過迄」と違ってほとんど覚えていなかった。
暗い話なので忘れてしまったのかな。
夏目漱石の病理が、もっとも生々しく表現されている作品なのかもしれない。