続・悩む力 (集英社新書) [新書]

続から読んでみる。
夏目漱石作品の分析はおもしろい。

悩むという行為は、内に葛藤や矛盾をかかえているからおこることだろう。葛藤がなければ悩まない。
本書の前作「悩む力」がベストセラーになったのには、題名とテーマが日本人の悩みをうまくとらえていたところにあるのだろう。

ただ、夏目漱石にもいえることだが、悩むことが決定や行為をしないことの言い訳になってしまわないかという危惧もある。

科学と宗教の対立というテーマは、フロイト読解と共通するところ。
本書は科学批判よりの立場のようだが、そこにおける科学の捉え方は浅薄であると感じた。
原発事故については、科学知識や技術の応用の問題であって、科学そのものが間違っていたということではない。

著者には宗教的なものへの心情的な共鳴があるようだが、特定の宗教を支持するのでもなく曖昧でよくわからない。