おじいさんのランプ

おじいさんのランプ 新美南吉

文化の進歩と、それに対する人間の抵抗ということを考えさせられる。
主人公の巳之助は、この課題をあっさりと乗り越えた前向きな人間である。
現実には、なかなかこうはいかないと思う。

ただ、ランプから電灯への進歩は、文化における「自然の支配」に関する部分なんですね。
この部分の進歩については、誰もが納得せざるを得ない。古い文化を生業としてきた者にとってはつらいことだが、やはり最終的には認めざるを得ない。

それに比べて、「人間相互の関係や関心の調整」についての進歩はむずかしい。何が進歩かわかりにくいし、いろいろな利害関係があって立場によって見方が変わるからだ。