映画『危険なメソッド』

観てきました。

<以下ネタバレ>

もちろん完全にフロイト視線でね
「だめだよユング! それはダメ!! ああ・・・」
みたいな感じ。

ユングの気持ちにはとてもなれなかったです。
というか、だめでしょうそれは。あんなにすばらしい奥さんがいるのに。
もうこれ以上言いませんが。

フロイトがらみの部分はすばらしかった。
フロイト役のヴィゴ・モーテンセンは、役作りのために実物の映像を見て癖を研究したり著作を読み込んだりしたとか。とにかくかっこよくて、ずっとフロイトを見ていたかったくらい。
ベルクガッセ19番の現地でロケを行い、フロイトの書斎もセットで完全に再現、これだけで一見の価値があります。

フロイトユングがクラーク大学に招かれてアメリカに行く場面。船上での二人の会話が重要なところなんですが、アメリカに到着したらすぐ次の話に移っちゃって残念。ザビーナ・シュピールラインとの話はもういいから、クラーク大学での講演を見たかった。
脇役で出ていたフェレンツィも、写真とそっくりの俳優さんが演じていて実に良い感じだったし。史実としてわかっているところは忠実に再現しているようなので、細かいところはビデオが出たらいろいろ検証してみたいです。
パンフレットでも、もうちょっとマニアックな解説をして欲しかったかな。

ユングからの視点の話なのでフロイトは権威的で冷たい人物のように描かれようとしているんですが、フロイトのセリフが実際の手紙や著作に基づいているものだから、そこに高い見識と暖かい気持ちが読み取れてしまうんですね。むしろ、それに反発しているユングの方が青二才のように見えてしまいました。

以上はフロイトファンの私からみた偏った感想ですが、どうなんでしょう、普通に見てもフロイトの方がかっこいいと思うんじゃないかなあ。
クローネンバーグ監督には是非、フロイトからの視点の別バージョンを作ってもらいたいものです。