文化の中の居心地悪さ VII

文化闘争というのは人類に独特のもののようで、他の種の動物では事情が違っている。

どうやら、動物のうちでもいくつかの種、たとえばミツバチやアリ、シロアリなどは、何十万年にもわたる格闘のはてに、われわれが今日、思わず見とれる国家制度や分業、個の制限を実現してきたに違いない。われわれの感性からすれば、こうした動物国家のどの住民になろうと、あるいはまたそこで個体に割り振られる役割のうち何を割り当てられようとも、われわれは自分を幸福だとは感じまい。そこに現在のわれわれの状態の特徴がある。(20-135)

人類はもしかすると、こうした統合の過渡期にいるのかもしれない。
ともかくわれわれ個人は、グローバルな文化に組込まれていくことに抵抗を感じがちなことはよくわかる。